能力者しりとりバトル 1回戦 ぺけぴー vs ロイックス

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イベントプロローグ〜出場者紹介

 

一つ前⬇︎

 

そこはヴェリナードの森の中。

人里離れたその場所で、双竜と呼ばれる二人のウェディが魔物と戦っていた。

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「しまった!」 

避けそこなったダークパンサーの鋭い爪がロイックスの腹部を切り裂く。

激しい痛みに一瞬意識が飛びそうになるものの、直後に暖かい光が体を包んだ。

 

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「ベホイム!」

 

じんないの回復呪文によって、出血する暇もないまま、傷口が塞がっていく。

ロイックスはさらに獰猛な牙を突きたてようと迫るダークパンサーに向けて剣を振り下ろした。

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「ギガスラッシュ!」

 

ダークパンサーは光の奔流の中に倒れ、動かなくなる。

ロイックスは息を吐くと、剣を鞘に収め、振り返った。

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「ふーお疲れ

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「ま、こんなもんだろ」

 

二人は笑い、腕をぶつけ合った。

 

剣士ロイックス。僧侶じんない。

二人のパーティはヴェリナード地方では有名だった。

その息のあった戦いから、いつしか人々は彼らを「双龍」と呼んだ。

二人が組めば、倒せない魔物はいなかった。

 

そんなある日、ロイックスのもとに怪しげな招待状が届いた。

それは戦いへの招待状。

しりとりによる、最強を決める戦いだった。

 

ロイックスは、招待状をピラピラとさせながら、じんないに話しかけた。

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「なあ、俺これに行ってみるわ」

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「は?なんだよそれ」

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「よくわかんねえが・・・ちょっと面白そうじゃないか。たまには魔物以外と戦うのも」

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「あぁー。お前がその子供みたいなキラキラした目をしてるときは、止めても無駄なんだよなぁ」

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「ふっふ。わかってるじゃん」

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「まあ、何でもいいや。お前が行くとこに俺はついていくよ。お前一人じゃ危なかっしいからな」

 

その時はまだ、二人は知らなかった。

その戦場が、魔物よりもはるかに危険な魑魅魍魎が、跋扈する場所であることを。

 

 

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「7戦目、能力者はぺけぴぃぃぃぃぃいい!」

 

控え室。

司会者のコールによって、先ほどまでバンソーコーを指に一生懸命張っていた男の動きが止まった。ゆっくりと立ち上がる。

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謎のヒヨコとともに、ステージに出て向かうオーガ。

 

f:id:ikopu:20180715115401p:plain「優勝候補が来たね。お手並み拝見」

オーガの女もぼそりとつぶやく。

確かにあいつは当初からいやに自信満々の様相だった。しかし、面白いじゃないか。強い相手ほど戦いは楽しくなるのだから。

ロイックスは立ち上がる。この館に入室した順番であれば、相手は俺になるだろう。

 

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「さあ、そして対戦相手は・・・ロィイイイイックス!!」

 

やっぱりな。

ロイックスは、じんないにちらりと視線を送る。

じんないは笑っていた。

 

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「よかったよ、いきなりお前と戦うことになるかと思ってた」

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「それは2回戦のお楽しみってことだな。ま、行ってくるわ」

 

二人はいつものように、腕をぶつけ合う。

ロイックスは振り返ると、逆光の中ステージへと出て行った。

じんないは、それが何故だか少し、スローモーションのようにゆっくりと見えた。

 

 

 

一回戦第6試合

ぺけぴー vs ロイックス

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f:id:ikopu:20180713141812p:plain

 

 

 

f:id:ikopu:20180715124135p:plain「イケメン同士、正々堂々戦おう」

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「えっ」

 

ステージに上がると、オーガは握手を求めてきた。

なんだ、以外と紳士な男なのかもしれない。

ロイックスはイケメンの是非はともかく、オーガの握手に答えた。

そのオーガの体からは何のオーラも見えない。

強力な能力者は平常時であっても、その余韻は漂わせているものだ。

かおりしゃんとか言ったか、あのエルフの女のように。

このオーガも、何らかの能力者であることは間違いないが、それほど強い能力ではないのかもしれない。

まあ、拍子抜けはさせないでくれよ。

俺は強いやつと戦いたいんだから。

 

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「先行はロイックス。どうぞ!」

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「けつあご」

 

じんないは胸騒ぎがしていた。

つい先、ステージに向かった時のロイックスの後ろ姿が頭から離れなかった。

何故だ。何に俺は、こんなに不安になっている?

 

ゴリラ」f:id:ikopu:20180715124135p:plain

 

じんないは胸に去来する第6感としか言いようのない何かに、いてもたってもいられず席をたった。ふらふらとステージに向かう。

スタッフと思われる黒服の男たちが、それを見てじんないを制止しようとする。

しかし、じんないはその手を振り払うようにして、ステージに進んだ。

 

f:id:ikopu:20180724224223p:plain「ランドセル」

 

 

 

 

じんないがステージに顔を出したまさにそのとき。

ロイックスは、ただ静かに、崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「ぺけぴーの能力、ニープレスナイトメアが発動」

 

 

 

 

 

f:id:ikopu:20180715124135p:plain「お前もまた、紛れもなく強敵だった」

 

 

 

 

 


f:id:ikopu:20180715120017p:plain「ロイックスは死にました」



 

 

 

 

発動能力:ニープレスナイトメア

最初にランドセルって言った人は死ぬ。

 

 

 

 

 

 

刹那の静寂ののち、観客たちの悲鳴が会場に響き渡った。

 

f:id:ikopu:20180715122015p:plain「え?なんなの!?」


f:id:ikopu:20180715161258p:plain「おいおい、まじかよ」

 

f:id:ikopu:20180715162710p:plain「即死・・・能力!!」

 

ざわめきが止まらない会場。そしてそれは、能力者たちも含んでいた。

 

 f:id:ikopu:20180715115401p:plain「あまりのチート能力!」

 

f:id:ikopu:20180720225008p:plain「発動条件は・・・いったい?」

 

 

じんないは、ロイックスの体を抱きかかえた。

暖かい。ただ力なく、眠っているようだった。

しかし僧侶の彼には、理解することができた。

彼がもう息をしていないことを。

彼の命が、体を離れていることを・・・・。

 

f:id:ikopu:20180724230625p:plain「・・・??」

 

理解はできても、受け入れられなかった。

目の前で起きていることが、まるで映画のワンシーンのかのように、現実感がなかった。

 

騒然とする会場を尻目に、司会者は何だか嬉しそうな様子で解説を始めていた。

 

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「ロイックスの能力はツッコミ。30%の確率でカウンターが出るというものでしたのでサイコロを振ってみましたが、出ませんでした」

f:id:ikopu:20180715120017p:plain「能力が出ていれば死んでいたのはぺけぴー。まさに死闘でした」

 

ぺけぴーはそれを聞いて楽しそうに口笛を吹いた。

f:id:ikopu:20180715124135p:plain「紙一重か」

 

死んでいた・・・?

死んだ・・・?

ロイックスが、死んだのか・・・?

 

そのとき、じんないの心で何かが弾けた。

 

ロイックス、お前が死ぬわけない。

 

俺という僧侶がいるのだから、お前が死ぬわけがないんだ。

 

じんないはゆっくりと立ち上がると、ぺけぴーを見つめた。

 

そのぼんやりとしたじんないの眼差しは・・・笑っているように見えた。

 

  

 

 

ステージからは悲鳴が聞こえる。

誰かが死んだとか、どうとか。

しりとりで死んじゃうなんて・・・そんなことあるの?

フィスは少し怖くなった。

 

f:id:ikopu:20180725001525p:plain「どうしよう。帰ろうかな」

傍のケンタも心配そうにフィスを見つめる。

 

f:id:ikopu:20180725001525p:plain「ケンタ・・・お座り!」

ケンタはその言葉を聞いて、嬉しそうに腰を下ろす。

尻尾をフリフリフリと振りながらも、見事なお座りだ。

 

f:id:ikopu:20180725001525p:plain「そうだよね・・・お前もこんな立派にお座りがやれるようになったんだし。今度は僕が頑張らないとね」

 

フィスはリールをテーブルに巻きつけると、ケンタの頭を撫でた。

f:id:ikopu:20180725001525p:plain「よし、じゃあ、頑張ってくるよ!」

 

 

日も変わった深夜1時。

いよいよ残されたのは第8試合、一回戦最終戦である。

 

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