一つ前⬇︎
「馬鹿野郎・・・アレックス・・・お前が・・・死んじまうなんて・・・!」
「すまないぺけぴー・・・俺の分まで生きて魔王を倒してくれよ・・・ぐふ!」
「アレックスーーーーーーー!」
「ぺけぴー私もどうやらここまでみたい、あなたとの冒険・・・とっても楽しかっグフっ!」
「ミネルバーーーーーーー!」
「へっ結局最後はお前にいいところもってかれるってわけか・・・負けんじゃねえぞ、ぺぐふっ」
「ヌーーーーーーー!」
「うおおおおおお前たち・・・なんで・・・死んじまうなんて・・」
「おやこれは。私は旅の僧侶。ザオラル!」
「「「よっしゃー!!」」」
「お前たち・・・生きていたのかー!!!」
グレンの古宿。
ぺけぴーは仲間たちが寝静まった後、酒場でグラスを傾けていた。
なんかこう、死ぬとか生きるって、こういうことだったっけ・・・。
仲間が蘇ったのは嬉しい。当たり前だ。
でも、人の生き死にはこんな簡単なことじゃなかった気がする。
「人の出会い、別れっていうのはもっとこう、覚悟を伴うものだと思うんだよな・・・」
「お悩みのようですね」
「これは僧侶どの。先ほどはどうも有難う」
「わかりますぞ、私も若かりしころは同じ疑問を抱くこともあった・・・」
そういって僧侶はふところから、一枚の手紙を取り出す。
「おや、これは?」
「貴殿の求める答えが、ここにあるでしょう」
能力者しりとりバトル。その手紙にはそう記されていた。
「能力者・・・一体これは、はっ」
ぺけぴーが顔をあげると、そこに僧侶の姿はなく、忽然と消えていた。
「・・・ほう」
面白いそうじゃないか。
しかし、俺には魔王を倒すという目的がある。
その目的をおざなりにしてこんな大会に出るなんて・・・
「「「いってこいぺけぴー」」」
「お前たち・・・!いいのか!」
「「「お前にとって大切なことなんだろ・・・魔王は俺たちにまかせておけよ!」」」
「アレックス、ミネルバ、ヌ・・・!」
「「「ようし、こんやは祭りだ!さあぺけぴーこいよ!胴上げだ!」」」
わっしょい!
わっしょい!
ぺけぴーはこうして出場を決めた。
2回戦 第4試合
ぺけぴー vs じんない
「2回戦!ラスト!ぺけぴーvsじんない!」
二人の能力者がステージ裏から舞台に現れた。
お互い目を合わせることもなく、対戦台に立つ。
「こいつは見ものだな」
「1撃必殺のぺけぴーと、ネクロマンサーじんない・・・ぶつかり合うわね、強能力が」
死者をもあやつるネクロマンサー。そして、未だその発動条件が未知である即死能力、ニープレスナイトメアの使い手ぺけぴー。
会場は名勝負の期待に包まれていた。
ざわめきの中、 司会の腕が振り下ろされる。
「それでは先行はじんないです・・・発動!!」
「じんないの『まってまって』が発動。以後ロイックスが発言します」
発動能力:まってまって
イコプのお腹が空いたら発動。以後の全てをロイックスになすりつける。
「俺しゃべってねえwww」
「いやいや、まってまってえええええ」
「くそわらう」
棺桶がガタガタと音を立てる。
「やはりこうなるか」
「これは面白いわよ。ロイックスさんは、先ほどぺけぴーに殺されているわけだからね・・・」
「死者が、その相手と再び相見えることになるとはな」
実質上の2度目のぺけぴーvsロイックスに、会場は大盛り上がりだ。
じんないは、ガタガタと音を立てる棺桶に足を乗せた。
ロイックス、こうなったら後はお前の力を信じるしかねえぜ!
2度同じ相手にやられるお前じゃない。いけ、ロイックス!
ネクロマンサー!ゴー!
ドン!
ドドン!!
「ぺけぴーさん・・・これは強敵ですよ・・・!あいつ、覚悟を決めた表情をしています!」
「あいつが戦うわけじゃないけどな」
「大丈夫、私たちのぺけぴーの能力は最強・・・!」
「ニープレスナイトメアヲ信ジルンダ、ペケピー!!」
ぺけぴーは不敵に笑った。
死者は死者・・・。
死体が蘇っても、気持ち悪いだけだろう・・・!?
「二度、殺してやる!!!」
「ロイックス、先行ワードをどうぞ!」
「強敵」
「きんにく」
「首輪」
「わなげ」
「ゲーム」
「むかで」
「テンポ早い戦いだ・・。しかし、ニープレスナイトメアが発動すれば勝負は一瞬・・・問題は、その発動条件だけ・・・」
「「る」で終わる言葉が発動条件ってのが会場の大多数意見だけど・・・即死能力にしては弱い制限な気がするのよね・・・」
「そうだよな・・・どれほどの代償を払えば、これだけの能力を・・・」
ざわめく会場の奥そこ、僧侶は一人ぺけぴーの戦いを見守っていた。
(ぺけぴー。わしにはわかっておるぞ。お主が、「ら」に寄せようとしていることをな・・・)
「デスク」
「クーラー」
「ラー油」
「油膜」
「車」
「まつげ」
「下克上」
「うた」
「ターゲット」
「扉」
こい・・・!
何度目かの、誰にも見えない死神が、棺桶の上に現れる。
「ラッパ」
しかし死神はすっと消える。
さきほどからこれの繰り返しだった。
「パンツ」
「積み木」
「きつつき」
「きりたんぽ」
「ポマード」
「ドア」
「油」
「ランプ」
「プーケット」
「トマト」
「トースト」
「トースト」
「!」
その時だった。
じんないは、棺桶から、うっすらと天に登っていく何かが見えた。
雲の隙間から、明るい光が差し込む。
逝ったか・・・ロイックス・・・・
じんないは天を仰ぎ目を瞑った。
「2回同じワードはアウト!ロイックスOVER!ぺけぴーWIN!」
「お前もまた、紛れもない強敵だった」
会場から飛び出してくるぺけぴーの仲間たち。
「「「ぺけぴー!やったな!」」」
わっしょいわっしょい!
胴上げの中ぺけぴーは控え室に戻っていくのだった。
「ザオラル」
「はっ」
「・・・負けちまったな、ロイックス」
「お、おう」
「俺もお前も、まだまだだったってことか・・・ヴェリナードの双竜も、一から出直しだな」
「・・・お前、なんかした?今回」
「一回戦でたきつぼ って言ったよ」
「・・・」
2回戦が終了した。
時は、丑三つ時。
闇が世界を覆う中、司会者は不思議な緊張感が満ちた会場を見渡すと、語り出した。
「さあ・・・これで、2回戦も終了です」
「決勝戦は、ここまで勝ち残りし、四人によるバトル・ロワイヤル」
「泣いても笑っても、次が最後・・・最強の能力者が、決まります」
控え室。
4人の能力者は、静かに立ち上がった。
「さあ、選ばれし能力者たちよ・・・来れ、最後の戦いへ・・・!」
「さくら・まう!」
「よし!ここまできたら、優勝するしかないよね!」
「ひゅげ!」
「・・・」
「(ひゅげちゃん、起きて・・・呼ばれてるよ・・・)」
「うにゃ?」
「ほしみ!」
「さあ、最後にまた降らせましょうか、血の雨をね」
「ぺけぴー!」
「どいつもこいつも【ニープレスナイトメア』の餌食だ」
狂乱の夜はついに終わりを迎える。
勝ち残りし四人の、そして四つの能力が、ぶつかり合う。
最強の能力者が、今、決まろうとしているー。
長くお付き合いいただいた能力者しりとりバトルも次回最終回!!
最後まで応援よろしくお願いします!
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